新宿ピットイン「ロドニー・グリーン・トリオ」ライブレポート

カテゴリー ライブレポート

ニューヨークを拠点に活動するドラムリーダー・ピアノトリオ

セッションに行くつもりが、気づいたら新宿で降りていた

昨日は新宿ピットインにロドニー・グリーン・トリオを聴きに行ってきた。
「行ってきた」といっても、もともと予定していたわけではなくて、本来は池袋の「サムシン・ジャズクラブ」のセッションに参加するつもりだった。
ロドニー・グリーンのライブがあることはずっとまえから知っていて、告知が出たときから「これは行かなくちゃ!」と思っていたのだけど、仕事が忙しすぎて予約を忘れてしまい、「いまから予約してもどうせいい席には座れないし・・・」ということでセッションの予約を入れていたというわけ。
でも、池袋行きの副都心線に乗っているあいだに、せっかくニューヨークで活躍しているミュージシャン、それも憧れのSmallsジャズクラブでやっている人たちの演奏を聴きのがしていいものだろうか、セッションなら来週だって行けるじゃないかと思えてきて、気が付いたら新宿三丁目駅で電車を降りていた。
電話でピットインに問い合わせると、「当日券なら大丈夫です」とのこと。500円割高になるわけだけどこの際そんなことはどうでもよく、座れるかどうか。「立ち見になっちゃいますかね?」と訊くと、「いえ、まだお席に余裕は・・」とスタッフさんは口を濁した。なるほど、がらがらというわけですか。
19時半少し前に来てくださいと言われたので、2時間くらいを新宿界隈で潰す。
2時間って地元で潰すのは地獄みたいなもんだけど、新宿だとブックユニオンに行き(ここはちょくちょく教本が入荷するので要チェック)、お隣のディスクユニオン新宿中古センターに行き(たまたまジャズの大量入荷があったみたいでフランク・シナトラのベイシー共演盤2枚が状態よくしかも格安で手に入ってほくほく。ほかにも割安でイイ盤がたくさんあったんだけど財布が泣き出しそうなので諦めました)紀伊国屋に行き(読みそびれていた文藝春秋の村上春樹小澤征爾記事を立ち読み)しているとあっというまに過ぎてしまう。18時半ぐらいに最寄りのドトールに行って本を読むのがピットインに行くときの定番なんだけど、ドトールに入ったときはもう19時だった。

ちょっと読んで気が付くと20分。慌てて席を立つ。

憧れのSmallsジャズクラブ

ロドニー・グリーン。
恐らくまだ日本ではほとんど知られていないドラマーではないかと思う。
ピットインに行ってみたら、やっぱり廊下はがらがら。当日券を買い求めたら、23番だった。
よく知らないミュージシャンに5000円を支払うのはやっぱり気が引けるのかしら。でも一昔前までだったら外人さんなら誰彼構わず高いかね払って聴いていた状態に比べればましなのかも。

代わりにアメリカ人が多かった。全部で10人弱いたんじゃないかと思う。
ピットインにはもちろんアメリカ人も来るけど、こんなに多いのは初めてみた。やっぱり、アメリカンにとっては日本人のジャズは本物じゃないってことなのかな。

来ている人はスネアケースを持っている人とか、ジャズ研の学生とか(ひとめでそれとわかる)、服装で明らかミュージシャンとわかる人とかばかり。業界の人というか、ジャズにどっぷりな生活を送っている人たちばかりといった感じ。

ぼくがロドニー・グリーンを知ったのは、この人がニューヨークのライブハウス、Smallsでのライブ盤を出しているから。
このお店はストレートアヘッドのジャズをやっているお店で、ジョエル・フラームとかがオマー・アヴィタルとかが出演している。
Live at Smallsというライブ録音のシリーズを出していて、このシリーズにはかなりホットな名盤が多いため、いつもチェックしているのだけど、このロドニー・グリーンのアルバムもいい内容だった。
まさかこんなに早く日本に来るとは、それもピットインでやってくれるとは思っていなかったから、出演を知ったときはちょっと興奮。憧れのSmallsに出演しているミュージシャンたちをピットインで聴けるんだ。

シンプルなのに、なんでこんなにかっこいいのか

ピットインのいいところは、客がオープンを待つ廊下に出演するミュージシャンも出てくること。
今回もオープンを待っていると、隣にでかいやつがいるなと思って見上げたらベースのデビッド・ウォンだった。
でかい。190ぐらいあんじゃないか。ちょっとしたらロドニー・グリーンも登場。こちらは、太い。

うわぁ出たぁとみんな思いながら、でも誰も話しかけない、相変わらずのクールな雰囲気だけど、こういうミュージシャンとの近さがジャズの魅力。ローリング・ストーンズだったらとてもこんな風にはいかないものね。

パーソネルは以下。

Pf:ティオ・ヒル
Ba:デビッド・ウォン
Dr:ロドニー・グリーン

曲目はジャズミュージシャンのオリジナルがほとんど。
チック・コリアのを二曲と、ケニー・カークランドのとか。スタンダードも1,2曲やったけど、曲名は忘れました。

オープニングから驚かされたのは、ロドニー・グリーンのドラムセットがとってもシンプルだということ。
ドラムの基本セットといった感じ。クラッシュシンバルさえなく、ライドシンバルのみ。
機材トラブルでやむを得ずそうなってしまったんじゃないかと疑いたくなる(あるいはほんとにそうだったのかもしれない)。

演奏じたいもブライアン・ブレイドとかジェフ・バラッドみたいな手の多いタイプではなく、シンプルに進めるタイプ。
しかし、かっこいい。
まず音が美しい。一音一音がしっかりとコントロールされていて、ビューティフルなドラミングだ。
そして緩急が見事。緩めるところは緩く、しかしエンジンをかけるときには一気にあげる。決めるところはこちらを唸らせるほどバシッと決める。
優れたF1ドライバーはブレーキングの切れが違うというけれど、まさにそんな感じ。緩急の切れ味が違う。

また、あまり期待していなかったティオ・ヒルが素晴らしかった。
バラードの演奏には魂がこもっているし、アップテンポのモーダルな曲ではこれでもかっていうくらいに弾きまくる。
ロドニー・グリーンとの息もぴったりで、両者がばしっと決まるところなんか思わず「フー」っと声をあげてしまう。
ベースソロのあいだも、デビッド・ウォンのプレイをじっと見つめ、まるでその演奏からなにかひとつでも学ぼうとしているかのよう。
音楽に対する熱意を感じさせる、笑顔も素敵なナイスガイな方でした。
この人のリーダー・アルバムもSmallsから出ているから、要チェックだな。

不満だったのはベース。デビッド・ウォン。
タイムも若干怪しいし、ソロもあまりぱっとしないし。
まぁふだんからそうなんだろうけど、目を伏せて眠たそうな顔をしているし。あまり楽しんでるようには見えなかった。
ほんとのところはどうなのかわかんないし、グリーンも、一緒に演奏して11,12年になると言っていたから、たまたま調子が上がらなかったのかもしれない。
これでベースがもっと良かったら(たとえば井上陽介さんとかだったら)さらに良かったと思うんだけど。
終わってしまったものはしょうがない。

じゅうぶんに満足の内容でした。
やっぱり来てよかった。来週のセッションに対するモチベーションも上がったし。

それにしてもニューヨーク、行ってみたいなぁ~。
新宿ピットインの入り口看板

ライフワークはジャズとランニングと横浜ベイスターズ。無駄に絶対音感あり。ピアノを弾きます。

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