小曽根真ワークショップ「自分で見つける音楽」に参加

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最高に楽しいワークショップ

四回目の開催となる人気企画

9月21日(水)に上野の東京文化会館で開催された、世界的なジャズ・ピアニスト、小曽根真さんの「自分で見つける音楽」に行ってきました。

今回で第4回目の開催となる本企画。
18時半開場、19時開演という、勤め人にはなかなか苦しい時間の開催で、これまで残念ながら参加できなかったのですが、今回はどうにか行けそうだったのでチケットをとりました。
案の定、開演には間に合いませんでしたが、どうにか20分遅れで入れました。

文化会館小ホールはクラシックのピアニストの公演で過去二度ほど来たことがあるのですが、ジャズは初めて。
東京文化会館でジャズって、すごく違和感ありますね。

スタッフの方に案内されてホールに入ると、会場はほぼ満員。
こんなにぎっしり入ってるのは初めてでびっくりしました。
ステージの上にはピアノが一台とピアノの椅子の上に小曾根さん。
ワークショップらしいということでホワイトボードとかを予想していたのですが、なにもないシンプルなステージです。

タイムテーブルは二部構成。
開演19時から20時半までが小曾根さんの実演を交えた音楽の話。
そしてそれから40分ほどかけて自由な質問タイムでした。

小曽根トーク:音楽を構成するメロディ・ハーモニー・リズムについて

爆笑を巻き起こす小曽根さんの話術に拍手

本ワークショップのメインは小曾根さんによる音楽についてのお話し。
音楽家の講演会というと、すごく堅苦しいイメージに思われるかもしれませんが、なんのなんの、小曾根さんは足を組みながら、時折ピアノに向かいその場で思いついた実例を即興でやるという、非常に自由な時間でした。

とにかくこの方は話がうまい。
神戸出身ということで関西弁のゆる~い雰囲気を醸し出しながらしゃべるしゃべる。
リハーモナイズについて、リズムについて、バルトークのユーモアについて。
延々しゃべっているあいだにあっという間に90分が経っていたという感じ。

音楽に対する小曾根さんの考えを聴けたのも最高でしたが、舞台裏の貴重な話しを聞けたこともよかったです。
2歳から6歳まで、ジャズの楽曲のメロディーを全キーで演奏することに夢中になったこと(天才ですね・・・)、12歳でオスカー・ピーターソンのライブを目の前、最前列の席で観て雷に打たれたこと。
初めてワルシャワの楽団とモーツァルトのピアノ協奏曲をやったときに、緊張で序盤にみっともないミスをして一列目のお客さんに「ソーリー」と謝ったこと(実際にピアノを弾いてそのときのことを再現してくれました、会場爆笑)。

とにかく、聴いているのが楽しい楽しい。
まだまだずっと聴いていたいくらいでした。
菊地成孔さんみたいに大学で講義をもったら絶対大盛況だと思うんですが。

音楽について

もちろん音楽を演奏することについてのお話しも大変面白かったです。

リズムについて。
歩くことを例に話してくださったのは、「あそこへ行こうと思って歩けば自然なリズムで足は進むけれど、一定のリズムであそこまで行こうと思うと足は自然に動かなくなる」、ということ。大変参考になりました。
フレーズを正しく弾こうとするのではなく、フレーズのその先へつながるように弾かなければならないのですね。

リハーモナイズの実演も素晴らしかった。
即興でムーンリバーを演奏してくださったのですが、そのあまりの美しさに、会場全体が息を呑んだのがわかりました。
演奏後は悲鳴に近い歓声と拍手。小曾根さんも「才能っていいですね~」と笑っていましたが笑、いや、これはほんとすごかった。
音楽を極めるということがどれほど素晴らしいことか、少し垣間見えた気がします。

質問タイム

一流のミュージシャンに質問できる夢のような時間

最後の30分は質問タイムでした。
自分は超内向人間なので(すみません)手を上げたりはできませんでしたが、参加されている方にはジャズを演奏されている方も多く、自分も訊きたかったことを訊いてくださったので十分でした。

Q.アドリブをするときコードやスケールから外れないようにするのに必死で音楽的にならない

A.「誰もが通過しなければならないところ。続けているうちに自然な演奏ができるようになる。
大学のジャズ研のライブなんかに行くと10分15分延々ぎこちないソロをやっていて聴いている側からしたらたまらないけれど、プレイヤーにはそういう過程が必要。
とにかく音を出してみることが大事。」

Q.演奏とトークは似ている?

A.「どちらもいまだに怖い。
でもその恐怖感が表現には絶対不可欠だと思う。」

Q.1日最大何時間ぐらい練習したことがある?

A.「8時間くらい。2時間やって30分やってまた2時間やっての繰り返し。
それ以上やると手がダメ。
自分のなかにないボキャブラリー(最近の小曾根さんの場合は調性のないバルトークの音楽)を演奏すると頭が限界になる。」
最長で8時間って思っていたより短かったです。それであんな演奏ができるようになるんだ。やっぱり吸収力が違うんでしょうねぇ。身によくつく、というか。
・・・・。

Q.最近ジャズを始めたのだが、自分の演奏の録音を後で聴くとあまりいい音が出ていない

A.「一音一音自分がどんな音を出したいのかイメージすることが大切。ちょっと弾いてみましょうか」
⇒ここで小曾根さん質問者の女性をステージに誘いピアノの前に座らせる!東京文化会館のピアノを弾けるなんて、すげぇー。
女性が曲を演奏(超スタンダードだったのですが失念しました)。ピアノをずっとやっている方だなとわかる演奏。ぜんぜん悪くないが面白くもない。
「どんな音を出したいかイメージして。右手は?左手は?その音を鳴らすイメージで弾いてみて。」
女性弾く。さっきより説得力のある演奏になる。会場拍手。女性席に戻る。
「自分の音をよく聴いてその音がどこへ行きたがっているのかを感じること。」
小曽根さん、ピアノで音をポーンと鳴らして音が会場に広がっていく響きを味わう。
「こういうソロを弾こうと予め考えてから弾くより、自分のいま出した音に刺激されて次の音を弾いていくほうが好き」

音楽に対してオープンな人

「今回つくづく思ったのは、「この人は音楽に対して常に開かれているんだな」ということ。
常に新しい音、響きを求めて、音楽に対して体・心を開いているという印象を受けました。

音楽に対してオープンな姿勢を持っているからこそ、じぶんのなかに音楽がストックされていく⇒フレーズ、ハーモニーが溢れるように自然に出てくる、のでしょうね。

翻って、ここのところの自分は音楽に対し非常にクローズドになっていたなと痛感しました。
ピアノの練習にしても教本に縛られていたり、まだよく聴けていないレコードを聴かなきゃいけないという焦燥感があったり、セッションでやる課題曲ばかりを練習したり。
音楽をやることに息苦しさを感じていたなと、今回気づかされ、帰り道、ずいぶん心が軽くなった気がしました。

純粋に音楽を楽しめばそれでいいじゃないと気付かされたことが、今回一番の収穫だったと思います。

会場のドアマンのおじさんも会場の皆さんと一緒に笑っているような、非常にリラックスした雰囲気の、しかし超一流の音楽家の知性を感じさせる、本当に素晴らしい企画でした。
こんなにいいのなら前回までも仕事休んで来ればよかったな。本気でそう思いました。

次も絶対行きます。
これでチケット代1500円は安すぎる。5000円の価値は絶対あると思うんだけど(とはいえ値上げはしていただきくありませんが)。
まだの方は是非是非。超楽しかったです、ほんとに。

ライフワークはジャズとランニングと横浜ベイスターズ。無駄に絶対音感あり。ピアノを弾きます。

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