ジャズピアノのバッキングを体系的に学ぶ『アート・オブ・ピアノコンピング』

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ジャズ・ピアノ・バッキングのガイドライン

以前、当サイトでご紹介したイージー・ジャズ・コンセプション ピアノ・コンピング (はじめてのジャズ・エチュード)『ジャズ・コンセプション ピアノ・コンピング(伴奏編) 』(※記事はこちら)の、初級編を終え、現在中・上級編を進めていますが、中・上級編は曲のアレンジに沿った譜面が多く、自由度が高くないというか、確かに曲に対してバッキングでどのようにアプローチするかを学ぶのにはいいのですが、ちょっと具体的過ぎる内容になってしまって、もうちょっと広くヴォイシングを学んだりそもそもバッキングの練習方法について学ぶには適さない一冊となっています(それと付録CDのマイク・ルドンのヴォリュームがなぜかひとりだけ低いのもなんだかなぁでした)。

まぁ、現時点での私のレベルでは中・上級編はまだ早かったということなんでしょうが。。。

バッキングについて、あまりに具体的になり過ぎず、欲をいえば体系的に学べる本はないかなと思って探してみたら見つかったのがこの本です。

結構な値段ですが、レッスン一回分のお値段だと考えればこれは超安いです。

まるでレッスン。丁寧な練習課題

この本の一番素晴らしいところは全6曲のそれぞれに、幾つかの課題が設けられていること。
「ファーストコーラスは音を少な目に、2コーラス以降だんだん多くして、最終コーラスはできるかぎりたくさん」「次はそれを逆向きにして」
「ヴォイシング全体を半音上げたところから弾いてみる練習をしましょう」
といったような感じです。
具体的な練習方法が書いてあるので、それをひとつひとつマスターしていくという明確さが非常にありがたい。
いままでぼんやりしていたバッキングを、少しずつ理解していくという実感があります。

ちょうど先生についてレッスンを受けているという感じ。
自分も学生時代、先生に習っていたことがありますが、レッスンってバッキングまでやる時間ないんですよね。ジャズピアノの9割はバッキングなのに・・・。
バッキングを専門にしている先生について勉強させてもらえる一冊です。

ボイシング付き

各曲には使用できるヴォイシングがまとめて掲載してあります。
ワンパターンだけではなく、展開のさせ方・トップノートの位置変更によって5~6パターン載っているので、いろいろと試すことができます。
曲の譜面に掲載しているわけではなく、別枠で掲載されているので、まずは別枠のところでヴォイシングを練習し、CDに合わせて演奏するときはコード譜を観ながらの実践的な練習をすることができます(黒本にはバッキング譜はありませんからね、あたりまえですが)。
楽譜のコピーって、楽でいいのですが、いざ白紙のコード譜を前にするとぜんぜん出てこなくなることが多い気がします、
譜面を見ながら弾くのに慣れちゃって、コード譜とその楽譜が結びつかない。
こういう風に初めから分けてあると、白紙をベースに練習ができるのでとてもいいですね。

自分で考えながら演奏できる自由さも素晴らしいです。

ひとつ残念だったのは、著者のマクニーリー(ヴァンガード・ジャズ・オーケストラのピアノ)の演奏のコピー譜がついていなかったこと。滅茶苦茶かっこいいバッキングをしてるんですが。
これはじぶんでコピーしてねということなんでしょう。はい、がんばります。

圧巻の添付CD。なんとアート・ファーマーが参加

ジャズ・コンセプション・シリーズも添付CDのミュージシャンが超豪華でしたが、こちらは一名とんでもない方が参加。

なんと、アート・ファーマーがフリューゲル・ホーンで参加しています。

それも、練習CD用の演奏という感じではなく、普通のレコーディングにかなり近いと思います。
作品としても聴けるレベルの内容です。正直、付属CDでは抜群にいい内容だと思います。

アート・ファーマーのバックでピアノが弾けるという、まさに夢のような一冊です。

バッキングの練習で煮詰まっている方に超おすすめ

ジャズの練習で一番苦しいのは、どうやって練習を進めていけばいいのかわからない、いまの練習が本当にあっているのかわからない、ということだと思います。
クラシックならバイエル、ハノン、チェルニーと進めながら、それぞれの段階で曲をやっていくという明確なラインがありますが、ジャズにはそういうラインはありません。パーカーのCharlie Parker Omnibookがジャズミュージシャンのバイブル的な存在ですが、もちろんこれにはバッキングはありませんし、これを全部コピーしたらアドリブができるかっていうとそんなわけでもなく。
「ジャズにはバイブルはない、あるのは演奏だけだ」というようなことをどこかで読んだような気がしますが、それがジャズの最大の面白さでもあり、プレイヤーにとってはしんどいところでもあります。

そんななかでこの本のような存在は貴重です。
手とり足とり、まではいきませんが、「これはできるようになっておくべきだ」という指針を示してはもらえます。
ジャズの海のなかでにっちもさっちもいかなくなっている方は、ぜひこのガイドラインを参考にしてみてはいかがでしょうか。

ライフワークはジャズとランニングと横浜ベイスターズ。無駄に絶対音感あり。ピアノを弾きます。

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