ジャズはライブだ!ライブ・レコーディング名盤6枚<激アツ編>

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熱いライブを体験することがジャズへの近道

ジャズはその場その場で生まれる音楽。
ライブでこそ本領を発揮するのがジャズミュージシャンです。
レコーディングで聴くとパッとしないけど、ライブでは別人のようになって大柄なプレイをするミュージシャンもたくさんいます。

ジャズを楽しむ方法はいくらでもありますが、とはいえ、まずはライブが第一でしょう。
ジャズのことがなに一つわからない状態でも、とりあえずライブハウスへ足を運べば(そしてそこで自分の好みにあうミュージシャンが演奏していれば)、ジャズとの距離は急速に近くなると思います。

中でも一番手っ取り早いのは激アツのライブを体験すること。

ポップスやロックでは、仮に知らないミュージシャンでも、ライブに足を運べばたいていの人が楽しめますよね。ジャズだってそう。音楽がどうこうよりも、とりあえずノリを楽しんじゃえというのが、ジャズに近付くのに一番効果的かなと思います。

そんなわけで、ライブハウスへ足を運ばずともジャズのノリを体験できるライブレコーディングの傑作選<激アツ編>です。

オスカー・ピーターソン『ライブ・フロム・シカゴ』


ジャズにおけるエンターテイナーといえばこの人、オスカー・ピーターソンによる傑作ライブです。1961年、シカゴのロンドンハウスでのライブレコーディング。
「The Trio=これぞピアノトリオ」と称された、ピーターソン、レイ・ブラウン(モダンベースを代表する最高のベーシスト)、エド・シグペン(ドラムス)という最強の三人が、ノリに乗った演奏を聴かせてくれます。
ピーターソンのアルバムではその親しみやすさからWe Get Requestsがメジャーで、こちらも超が3つくらいつく名盤ですが、演奏のクオリティ、そしてテンションからするとこのシカゴ・ライブがベストではないかと思います(もちろん彼には他にも素晴らしいライブアルバムがありますが)。
ライブハウスごと時空の彼方へ飛び出して行くような、ジャズでしか味わえない奇跡的な感覚を体験できるはずです。

キャノンボール・アダレイ『マーシー・マーシー・マーシー』

ジャズの熱さと黒さを味わいたいならまずこの一枚でしょう。ライブ盤の名作選企画ではお馴染みの超名盤。アルトサックスのキャノンボール・アダレイによる傑作ライブです。うざいほどがなり立てる楽器。ぎゃあぎゃあ喚き立てる観客たち、熱気むんむんで体臭が臭ってきそうなくらいの雰囲気。

名曲「マーシーマーシーマーシー」におけるジョー・ザヴィヌルのキーボードプレイも聴きどころですが、何と言っても白眉はキャノンボールのぶっ飛びプレイでしょう。
特に「マーシーマーシーマーシー」で会場が盛り上がりきった後の、「Sticks」におけるキャノンボールはまさに「共食い」。ナットのソロ終わりに喰ってかかるようにしてがなりこみながら飛び込んでくるところなんかは、もう最高としか言いようがありません。

マイルス・デイビスのバンドでは美しいサウンドを聴かせていたキャノンボールですが、猫を被っていたんでしょうね笑 僕にはこっちが彼の本音に聴こえます。

僕はまだ大学入りたての頃、ジャズを真剣に聴き始めてまもない頃にこのアルバムを聴いて、ジャズの面白さが本当にわかった気がします。
ジャズの楽しさがよくわからない方にこそ聴いてもらいたいアルバムです。

ジョシュア・レッドマン『Captured Live !』


僕はジョシュア・レッドマンはそこまで好きではないんですが、このアルバムともう一枚、この次で紹介しているアルバムに関してはとてつもない名演だと思います。
1994年のこちらのCapturedは、現在のジャズ・シーンでそれぞれの楽器のぶっちぎりトップミュージシャンである面々が集まって組まれたカルテット。
テナー・サックスがリーダーのジョシュア・レッドマン、ピアノがブラッド・メルドー、ベースがクリスチャン・マクブライド、そしてドラムがブライアン・ブレイドと、最強の布陣です。
しかもまだみんな若い。今では若いミュージシャンたちの兄貴役となった感のあるクリスチャン・マクブライドも、まだこの頃はとんがったやんちゃな兄ちゃんといった様子で、音もかなりとんがっています(とはいえ一体ウッドベースからどうしてこんな音が出せるのか・・・)。

20代そこそこの若者たちが、ジャズの歴史の中でも最高と呼べるレベルの演奏を繰り広げています。
まさに天才たちの共演ですね。

特に一曲目のDeserving many におけるブラッド・メルドーのソロと、それに合わせるマクブライド&ブライアンのトリオの演奏は、史上最高レベルにあるといっていいでしょう。メルドーが神がかったフレーズでソロを始め、マクブライドがそれに機敏に反応、徐々に盛り上がっていくメルドーのソロにブライアンが完璧に合わせて行きます(この人は超人的なドラミングをしながら、かつメンバーの演奏をよく聴いてそれに合わせていける稀有なドラマーです)

この一曲の演奏を聴くためだけでもこのアルバムを買う価値はあります。現在は廃盤ですが(一体レコード会社さんはなにを考えているのか)ダウンロードが可能ですのでそちらから是非。天才たちの才能が爆発した超名盤です。

ジョシュア・レッドマン『ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』


Capturedの一年後、1995年のこちらはNYのヴィレッジ・バンガードでのライブを収録したもの。
メンバーもブライアン以外は一新されていて、ピアノがピーター・マーティン、ベースにクリストファー・トーマスが入っています。
このライブでもブライアンはキレッキレですが、それを超えて凄まじいのはリーダーのジョシュア・レッドマンとピーター・マーティン。

ジョシュア・レッドマンはCapturedではそれほどパッとしないのですが(この方の演奏はたいていパッとしないという印象があります)、ここでの演奏は文句なしに素晴らしい。冒頭、ノリに乗ってスタートするJig a Jagから、朗々と歌い上げるMy One and Only Love、そしてスタートから5分間に渡ってひとりでソロをとるSt Thomasまで、非常に創造的な演奏をしてくれています。

白眉はピーター・マーティン。この人は日本での知名度は低いのですが、クラシックの教養もバッチリある超一流のピアニスト。しっかりとしたアーティキュレーションでクラシカルなスタイルからモダンまで、幅広いスタイルを華のある音色で奏でることができるので、僕の大好きなピアニストですが、この方を初めて聴いたのがこのアルバムでした。
最高のソロはSt Thomas。2ビートから始め、盛り上がりきったところで4ビートへ移りさらに怒涛のソロへ突き進んでいく。
完璧なソロといっていいと思います。90年代最高のソロの一つといって間違いないでしょう。

このライブを生で観ていたら確実に失神していただろう自信が僕にはあります。必聴。

シリル・エイミ『ライブ・アット・スモールズ』&オマー・アヴィタル『ライブ・アット・スモールズ』



最後にご紹介するのはニューヨークのスモールズ・ジャズクラブでのライブから2枚です。
このシリーズはジャズの今を伝えてくれるので、僕の愛聴盤なのですが、この2枚は特におすすめ。
シリル・エイミのアルバムにはロイ・ハーグローブ(現代最高のトランペッター)とジョエル・フラーム(日本での知名度は低いけど最高のテナー奏者)が参加し、最高にホットな演奏を繰り広げいます。
中でも聴きどころは僕の神様コール・ポーター作曲Love for saleにおけるジョエル・フラームのソロ。テナーソロに引っ張られるようにしてバンド全体が突き進んで行く時に感じる高揚感はジャズ以外の音楽では味わえません。一流のジャズ・ミュージシャンだけが運んでくれるマジックタイムです。

オマー・アビタルも同じく最高にホットなライブです。アヴィタルのベースの録音が弱いのが残念ですが、グイグイとバンドを引っ張って行っているのは全体のサウンドからわかります。こちらも天国行きのチケットが付いています。最初聴いた時は「ジャズは死んだなんて言ったのは誰だ」と叫びたくなりましたね、ほんとに。

本物のジャズはライブハウスにある

いかがでしたでしょうか?
ジャズに詳しい方なら、「あれ、ミントンズ・プレイハウスは?ブレイキーのバードランドライブは?エリック・ドルフィーのファイヤーワルツは?」とたくさんツッコミが入ると思いますが、今回はとにかく聴きやすく、ジャズのビートを肌で感じられるアルバムを選びました。
この6枚のアルバムでジャズの熱さに興味を持たれた方はぜひライブハウスへ足をお運び下さい。現役のジャズミュージシャンたちが、きっとホットな演奏を繰り広げてくれているはずです。

ライフワークはジャズとランニングと横浜ベイスターズ。無駄に絶対音感あり。ピアノを弾きます。

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